[JOBS:学生向け]ツール開発・デジタル小道具のお話

今日は普段中々目に触れることの少ない"ツール開発"の仕事について。

応募要項にある"ツール開発"って?実際ツール開発とは作品の裏側でどんな役割をもって活動しているのか―、その一端を紹介します。

私達の作業の多くはコンピュータ上で行われますから、当然扱うものはデータになります。作品で必要なモデルデータ、アニメーション、エフェクトやエフェクトにまつわるキャッシュデータ、それらをレンダリングした中間ファイルの群から、撮影(コンポジット)のプロジェクトファイル等、各ファイルのバージョンまで含めるとそれらは非常に多岐に及び、独立したファイルとして作業サーバーに格納されています。
加えて、作品毎、シリーズならエピソード毎、更にカット毎、作業グループ(3Dエフェクトなのかモデリングなのか)毎にもファイルが発生します。文字にするだけでもややこしいですね。

そんな中で発生しがちな問題としては
「どのファイルが最新か分からない/間違えてしまう」
「誰が作業したファイルか分からない(問題発生時のチェック先が分からない)」
「ディレクトリが深すぎて当該ファイルに到達するのに時間がかかる」

等など、映像制作以外でも、ファイルがあちこちに散乱して収拾がつかなくなる、そんな覚えがあるんじゃないでしょうか。
カチカチ、カチカチ、カチカチ、えーと…....あったぞ!こういった[クリックしてフォルダを移動、ファイルを探す、開く&保存する]など、一連の"儀式"はどの工程に於いてもついてまわる非常に重要な作業で、弊社チームスタッフ達も来る日も来る日もマウスクリックの速度を上げるべく、社内で競い合いつつ机にかじりついては昼夜問わず…ではなく:D

私達のミッションは「良質な映像作品の制作」です。チームの主目的である映像制作に関係のない作業は自動化して、作業者の時間を目の前のカットに集中させるべきです。
そこで、「デジタル小道具」の出番となります。 以下はその一例―、

コンポジット作業のプロジェクト作成ツール BASEMAN
新規ファイルを作成▶必要なファイルをサーバから集めて読み込み▶基礎コンポジットを終える(プログラムが理解できる作業は全て事前に終えて作業者に渡す)▶適切なディレクトリに正しいファイル名で保存する▶バックアップファイルを作成する
↑というのが主な機能紹介。立ち上げ時の状況に合わせて何パターンかのサブ機能も搭載されています。ともあれ、上記あげた一連の作業が一つのクリックをトリガーにして完了。これにより作業画面から離れずして(この場合はAfterEffects)、煩わしいウィンドウを手繰る手間から開放されますね。勿論、人為的なミスも決して起こりません。
その分映像に集中したり、ときにはコーヒーを飲んだり、作品の為に過ごせばいい。ufotable内で稼働しているツール群にはそんな意図が込められています。

上記ツール開発と同じスタッフが制作した"小川"のCG。
ツール開発者が映像制作にも参加することで作業者の機微を反映した高精度のツールが生まれます。
このような作業のクロスオーバーは頻繁に行われています。

改めて、ほんの一例なのですが、ちょっとした考え方や、実際のツールのご紹介でした。弊社といわず、何かのきっかけ、参考になれば幸いです。開発言語としては
  • Python
  • Java Script
  • 3dsmax Script
このあたりが中心的です。デジタルツールはアニメーションCG制作のこれからの開拓分野ですから、日々技術と向き合う学びとアウトプットの日々になるでしょう。プログラムを通した現場のサポートから映像制作まで、幅広く関わっていくことに興味を持つ方がいれば、ご一報戴けますと幸いです。

こちらも併せてどうぞ。
デジタル映像部より