テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス第一期の最初の開演から、2週間が過ぎました。毎週、スタッフ達とオンエアをスタジオで並んで見ていたのが随分昔のようです。実際にはほんのすこし前ですが…制作中というのは夢のような日々で、あっという間に遠くへ行ってしまいます。
今、スタジオで様々なプロジェクトのことを(勿論 テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロスの次の戦いのことも)考えつつ、ここしばらくを振り返っていました。プロダクション開始後、現在まででほぼ一年余り関わっているプロジェクトとなります。チーフスタッフも皆、よくやってくれたと思います。
それで以下は、僕達がレンダリングしたデータの一部。
総カット数: 4329 カット
データサイズ: 4610 GB
最終レンダリングフレーム: 4610000フレーム
数字が大きくて、きっとイメージが難しいですよね。フレーム数に至っては、460万フレーム余り。実際には1カットにつきチェック用や納品用など何種類かのファイルがテイク数の数だけ存在しますから、更に何倍かあったことでしょう…(バックアップ・ドライブを見ればもっと分かりそうですが、割愛!)。気が遠くなりますが…これが歩いてきた道です。
ただそれが面白いことに、自分達で歩いてきた道なので、適当にデータを開いても、1フレーム、きちんと思い出があって。一つ一つ、フレームを覗いては直してきたんだなと、感慨深くもあります。
またデータにはなっていない数字で、クリック数も本来は面白い指標です。例えるなら鉛筆のタッチ、1筆のようなものでしょうか。チーム内ではクリック数にこだわって、(1クリックでも少なくオペレーションを行う!)速度を確保しようとする流れもありますが、これは単なる省力化ではなく、1カットに対して何クリックでゴールするか…尺アタリの作業コストにつながるということです。つまり、クリック=選択コストを減らして作業速度を引き上げることで更なるブラッシュアップの為の時間を創ろう = もっとエネルギーを注いで映像の熱を上げていこうという意思の一つの形、であったりもします。
勿論その以前に…フレームの元となっている絵には1枚づつに込められた作画スタッフ達・ひいては設計図たる"コンテマン"、もっと遡ってその根っこになる"脚本"まで…更には…と考えていくと、本当に、途轍もない、作品、ひいては携わる人・支える人のエネルギーを感じます。それは監督であったり、原画であったり、動画であったり、勿論音響も―各セクションの人々が練り上げた想いの塊です。
それを、届ける。
毎作・もう目一杯、限界まで力を出し切ろうとする150名超を抱えるスタジオが
観客皆さんに伝わるレベルまで分かりやすい、更なる品質・更なる面白さを探っていく―この、関わる人の熱を伝えるには半端なエネルギーでは到底事足りない。
以下のテスト画像。複雑な崩壊▶巻き上げの力場を設定しています。
これは只の技術で、作品の届けたいもの、本懐ではありません。
破壊された岩石が竜巻に飲まれるフォースの流れをテストしている所。 竜巻中心からの距離に従って地面の破壊や巻き上げられる速度が変化する。 |
異常な天変地異の光景。人の手では抗えない、恐るべき災厄のワンシーン。
#00 より。 |
技術に熱はありません。
でも、届ける映像には宿っていなくてはならない。
その間にあるものが、僕達の大事にしているものです。
(実はそんなことを考えながら、今BDBOXufotable特典「テクニカルワークス-映像の裏側-」の事を考え始めています。ご紹介はいずれ…ですが、観ていただきたいものがたくさんありますから、宜しければお手に取り下さい。)
自動化が進みCG表現が身近になった今でも、作業の高度化は反比例するように高まっています。未踏の表現を模索して難解なカット達に向かって知恵を出し合い、4329カットを作り切ったスタッフ達がいます。
作品は作品として楽しんでいただきたい。
でも、もうちょっと興味が湧いてきたら、映像の裏側…として、こんな人々が各々の技能でもって、作品に熱を与えようとしているんだと、そういう存在を感じるところも含めて、エンターテイメントの一助となれば幸いです。
そういう風にこのブログ自身も機能していてくれたらと、書いています。
とりとめのないテキストになってしまいましたが、そんな仲間たちと、またこれから
2017年、セカンドシーズンです(皆さんのご存知であろう他タイトルもしっかり準備中・・・ですが、本稿ではあくまでテイルズオブゼスティリアについてお話しさせていただきます。)。もっともっと、やりたいことも、やれることもありますから、挑戦の日々は再び、です。頑張らなくては、ですね。
改めて、ご覧いただきありがとうございました。
デジタル映像部 寺尾
ps
徳島マチアソビvol.17 にて急遽イベント出演させていただきました。
たくさんのイベントの中からご一緒してくださった皆さん、どうもありがとうございました。