劇場版『空の境界』未来福音につけて



少し前、あなたの根源は?と聞かれ「人を 驚かすこと」と答えました。

面白い、というのは何か予想を超えた一瞬の間の
自身の想定と実際のずれの様なものなのではないかと思っています。

例えば漫画のページをめくる時の、束の間の空白、
ここで、という瞬間に切り替わる映画のワンショットのコマの隙間の様な
一瞬の中のワクワク感に面白さの根源は潜んでいるのかもと。
新しい解釈や展開に、映像や言葉、音のリズムによって
自身が、ふわっと引っ張りあげられる浮遊感を心地よく感じるのです。

「未来福音」でも今までの空の境界とはまた一つ違う世界をお届けすべく、
スタジオのスタッフ達と共に尽力しました。

『空の境界』でありながらも、また新しい『空の境界』として
訪れた方の想定を超えるような一瞬を、120分の内、幾度かでも提供したい。
ささやかな照り返しや、小さな反射光の積み重ねや
カットの中で絶えず変化する微妙な色合いであったりが、
観客の皆さんが心地よい驚きに向かう、物語の一助にでもなれば、
撮影として頑張った甲斐があったなと、また頑張ろうと思えます。

ご覧になった皆さんには心より感謝をお届けしたいです。
また、未見の方で、ご興味が御座いましたら、是非。


今月19日以降はスタッフによる"関係者記念本"という書籍が特典に加わっております。
僕も微力ながら寄稿させていただきました。

有り体ではありますが、何卒、お楽しみくださいませ。


寺尾