こんにちは、デジタル映像部より―
テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編が放送中です。今日のポストでは、何度かご紹介してきた「ハーディング」について「鬼滅の刃」の現場からもご紹介しますね。
今回はufotableのyoutube公式チャンネルにテレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編での「ハーディング対策」 Frameの有無を映像にまとめましたので、アップしておきます。少し技術的な映像になるのですが、宜しければ御覧ください。
改めて「ハーディング」 に関する過去のテキストを引用すると
TV放映では安全な視聴体制を確保する為に、どんな番組であれ、オンエア前の映像を必ずパカチェッカーという検出装置にかけるきまりになっています。その 機械で自動的にガイドラインに合う明度彩度の変化が検知されると、フレームをダブらせたり、暗くしたりして"視覚刺激"を抑える…というのが基本的な 流れ。
…もう少し深堀りするなら
グラハム・ハーディング教授が考案したということで、そういった名前になっているそうです。このチェック(パカパカチェック=ハーディングチェック)に引っかかると、画面全体が輝度落ちした状態となり、実際にはメリハリの薄い、不自然で暗い画面になってしまいます。 アニメーションを見ていて「暗い?」と違和感を感じる事があれば、このハーディングによるものかも知れませんね。
という事になります。そして、これまでのイントロダクションの通り、ufotableではパッケージ収録されるマスターバージョン(ビデオマスター/パッケージ版(Original Frame))とは別にTV放送での影像を本来の意図にギリギリまで寄せるべく、TV放送専用テイクも制作しています。これが映像内での「TV放映版(ufotable OA)」というものです。
テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編 OP映像からの参考フレーム。テレビアニメ放映版(ufotable OA)版の煉獄。
こちらがビデオマスター/パッケージ版(Original Frame)
これまでの輝度調整/表現の工夫でチェックを乗り切る方法に加え本シリーズにおいては、「マスター」「輝度抑制」の二種バージョンを作成し、合格ラインに達するまで1フレーム単位でブレンドしながらテストを繰り返す、と言うことをフレーム単位で行っています。
概要としてはこのような流れです。「TVでの放送」という場面において、アニメーションをスタッフ達がチェックした「ビデオマスター版」に近い状態でオンエアする為のこれ以上ない対策姿勢で臨んでいます。
ハーディング対策のOA専用ショットはご紹介したパート以外にもあちこちで行われているのですが、直近の放送映像から、わかりやすいものをいくつかピックした形です。少し硬い内容ですが、こんなことも裏で工夫しているんだなと、作品を深く知るきっかけになれば嬉しいです。
アニメーション映像においては、数コマの表情、僅かな輝度差が、カットの存在感を左右する事があります。ハーディング対策を丁寧に行うことで映像の持つメッセージを、しっかり観客の皆さんにお届けできるようこのような仕事にも日々研究・注力しています。
現場より、ご紹介でした。
お読みいただきありがとうございました。
デジタル映像部
**ご案内**
BD/DVD等のパッケージ映像には、輝度規制のないオリジナルマスター映像が収録されています。